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KAIRINJUKU NEWS  開倫塾 1995年 10月号

書き抜き読書ノートのすすめ

−積極的な読書をすすめる基礎知識−

開倫塾 塾長  林  明夫

1.はじめに
 人は一生のうちに、どの位の本に接し、どのくらいの量の文章を読むのでしょうか。また、読んだ内容のうちどのくらい読書後の人格の形成に役立っているのでしょうか。「人格形成」とまでは言わなくても、どのくらい心に残っているでしょうか。
 今回は、季節も「読書の秋」になりましたので、積極的な読書の一つの方法として「書き抜き読書ノートのすすめ」という題でお話をさせていただきます。

2.「書き抜き読書ノート」のすすめ
@ はじめに、自分の気に入ったノートを一冊用意して下さい。何年も、場合によっては何十年も使用するものなので、なるべく大きめの文房具屋さんに行って、たくさんの種類のノートの中から、できるだけ、これからお話しする内容にふさわしいノートを一冊選んで下さい。長い年月使用するものなので、多少金額が高くても、もったいないと思わず、思い切って買って下さい。
*文房具を選ぶコツは、,なるべく大きなお店に行くこと。,1ヶ月に1〜2回は行き、どんなものがおいてあるか頭に入れること。,買いたいものがあったら、多少高くても思い切って買うこと。お金がなければ、1〜2ヶ月他の支出を削ってでも買うこと。以上のように、十分比較検討した上で気に入ったものを購入し、後は、大切に使うことです。

A 気に入った本を読んでいて、心にふれる文章に出会ったら、その横にうすくえんぴつで線をひくこと。もし、感じることがあったら思いつくまま、自分の思いや、考えをその近くにそっとメモしておくこと。
*図書館やお友達からお借りした本に、線をひいたり、メモをしたりしてはいけません。お借りした本の場合には、紙をしおりの大きさに切り、そのページのところにはさみ、そのしおりに、ページを記入した上で思いつくままにメモをしておくとよいでしょう。
*自分のお金で買ったものであれば、本にはどんどん線を引いたり、メモをしていくことをおすすめします。入院などしていて、ベッドの上で本を読む場合には、重くて読みにくい本の時には、章ごとにカッターで切り、ホチキスでとめて、何冊分にも分け、軽い形にして読むことをおすすめします。自分で買った本ですから、もったいないと思わず、気が済むまで書き込みをしたり持ちやすいように分解してもいいのです。それよりは最後まで読み終えること、自分自身の向上のために役立てることが大事だからです。

Bこのようにして一冊読み終えたら、線を引いてあるところや、メモをしてあるところをもう一度読み返して、気に入ったところや深く感じられたところがあれば、「書き抜き読書ノート」に、そっくりそのまま書き抜いて下さい。一冊のうち一行でもいいのです。あまり多くの量を書き写さないことが「書き抜き読書ノート」を長続きさせるコツです。「感想文」を書く必要はありません。(ただし、どうしても書きたければ書けばよいのですが、読んだ本すべてについて感想文を書こうと思うと、気が重くなって、長続きしません。気に入ったところだけたとえ一行でもいいから書き抜くだけで十分です。)本の名前、著者の名前、読み終えた日付なども書いておくといいでしょう。これで、「書き抜き読書ノート」はおしまいです。どうです。簡単につくれるでしょう。是非、この文章を読み、自分で納得がいったら、ノートをつけはじめて下さい。

3.おわりに
 この「書き抜き読書ノート」は、皆さんの宝物となります。小さな旅行に行くときにも、高校を終えて、家から離れて就職や進学のため引越すときも、結婚をして住まいを変えるときも、外国に行くときも、肌身離さず身近に持っていって下さい。最後のページまでつけ終えたら、宝物の場所に保存しておいて下さい。途中までつけ何年かつけなくなっても、また、書きたくなったら、もう一度記入し始めて下さい。そして、10年に一度くらいは、一冊目からもう一度見直して、いろいろ思いをめぐらせて下さい。その中でも気に入ったところがあれば、声を出して読んでみたり、その文章全体を暗記してみて下さい。お友達や家族に、自分の気に入った文章を教えてあげ、どう思うか意見を聞いてみて下さい。
 一人一人の「人格」や「思想」というものは、どのように形成されるのか、私自身最近考えることが多いのですが、以外とこのようなノートを使った積極的な読書によっても形づくられるのではないかと考えます。保護者の皆様も残された40〜50年間、お子様ともどもこのノートをおつけになることをおすすめいたします。

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